はじめに
「今私は、あなたがたを神とその恵みのみことばにゆだねます。みことばは、あなたがたを成長させ、聖なるものとされたすべての人々とともに、あなたがたに御国を受け継がせることができるのです。」
(使徒の働き 20章32節)
このシリーズは、関西単立バプテスト神学校校報「バプテストラッパ」に2007年冬号から2026年春号まで連載された「聖書語句の学び」シリーズを再編、加筆したものです。
初期のものは書式を統一しておらず、掲載時の紙面の割り当てに合わせて内容を割愛したものも多くありました。また邦訳聖書は新改訳第二版、第三版を使用していました。
そこで、このホームページに改めて連載するにあたり書式を統一し、内容も加筆し、さらに邦訳聖書を聖書新改訳2017に統一します。そのため再編・加筆の必要性の少ない項目から掲載しますので、「バプテストラッパ」に掲載した記事とは、連載順序が異なります。
記事の内容は、1985年から筆者が牧会する緑が丘バプテスト教会(兵庫県三木市)の諸集会での聖書講解説教、連続主題説教、そして1987年から教鞭を執った関西単立バプテスト神学校での聖書原語、聖書学、神学、教会歴史そして応用学の講義を土台としたものです。その上で、「バプテストラッパ」最終号(2026年春号)において記した参考文献を参照し、主題ごとに纏めています。このシリーズは、さらに加筆し、新たな主題も取り上げる予定です。参考文献はシリーズ最終回で改めて掲載させていただきます。
次にいくつかの約束事を書かせていただきます。
●前述のように邦訳聖書は新改訳2017を使用し、聖書箇所の略号もそれに合わせます。
●表音表記は、英語アルファベット文字とほぼ同じもの(英語、独語、仏語、ラテン語等)は、そのまま表記します。
●ヘブル語、アラム語、ギリシア語に関しては、原語のアルファベットを学んだことのない方にも親しみやすくカタカナ表記にしています。勿論、神学校の授業では、ヘブル語を正確にローマ字表記できるようにしていただいています。他方でヘブル語をある程度学んだ方に語根の綴りを想像できるように原則として弱ダゲシュをつけたカタカナ表記にしています。
●新改訳2017と『ビブリア・ヘブライカ』や70人訳(旧約聖書ギリシア語訳)の章節が異なる場合があります。文章と内容が複雑にならないため、新改訳の章節のみを表記しています。原文を参照して読まれる方々には少し不便かと思いますが、ご容赦下さい。
私が、このシリーズを広報「バプテストラッパ」に書き始めたのは、聖書を読んでいくうえで語句の意味を知ることの大切さを感じていたからです。その契機は、教会でのローマ人への手紙の講解説教でした。説教の準備をしていて、「法(ギノモス)」という言葉が異なった日本語に訳されていること、同じ「律法」と訳されていても文脈によって意味が異なること、また複数の意味の可能性がある箇所があること等に気づきました。原語のギリシア語と同じ印欧語の英語なら直訳的に“law” に統一して訳せても、日本語ではそうはいきません。聖書翻訳の大切さ、困難さ、読者への影響の大きさを感じるとともに、その箇所の語句の意味を説明するという説教者の務めを改めて認識しました。それで、まず自分自身が説教者として聖書語句の意味をよく理解するため、また信徒の方々が少しでも聖書を読む時に助けとなるように、このシリーズを執筆し始めました。
私自身が聖書語句をさらに研究し聖書理解を深め、この記事が読者の方々の聖書理解に、何らかの益となることを心より願っております。そして私たちはみことばによって養われ、主にあってともに成長させていただきたいと思います。主の祝福が皆さまの上に豊かにありますよう、お祈り申し上げます。
2026年6月
吉本隆史